監修者プロフィール
管理栄養士
山田 由紀子
武庫川女子大学短期大学部食生活学科卒。給食会社と病院で栄養管理業務に従事。出産を機にフリーランスへ転向。保健センターなどで栄養指導・食事相談を行うほか、料理教室や発酵食づくりのワークショップを主催。
現在は、栄養関連の記事執筆やレシピ作成、栄養監修、食生活アドバイスなどを中心に活動。管理栄養士の知識と経験を元に、最新かつ正しい情報をお届けし、あなたの健康づくりをサポートします。
筋トレといえば男性がするイメージがありますが、最近では引き締まった体を目指してトレーニングに励む“筋トレ女子”が増えています。
筋力アップにはトレーニングと合わせて、「たんぱく質」を摂ることが大切です。
お肉をしっかり食べたり、プロテイン飲料を飲んだりと、積極的にたんぱく質を補っている人もいますが足りていない人も多いようです。
トレーニングをしていない方でも、健康なからだづくりのためにたんぱく質を適量摂ることはとても大切です。
そこで今回は、筋力アップや健康維持に欠かせない栄養素の「たんぱく質」について解説します。
たんぱく質がなぜ必要なのか、どれくらいの量を摂ればいいのか、たんぱく質が豊富なおすすめ食材はどれか詳しくご紹介します。
たんぱく質について正しく知り、毎日の食事づくりに役立てましょう!
目次
たんぱく質はなぜ必要か?
たんぱく質は、私たちの体をつくる材料になる栄養素です。
筋肉や臓器、皮膚、爪、髪などを作る主要な成分であるとともに、代謝に欠かせない酵素やホルモン、免疫抗体などの原料にもなります。
さらに、栄養素の運搬やエネルギー源としての役割もあります。
食べ物に含まれるたんぱく質はそのままでは利用できないので、体内で消化され、アミノ酸に分解されます。
分解されたアミノ酸はさまざまな組み合わせで再構成され、体に必要な種類のたんぱく質が作り出されます。
体をつくる材料になるアミノ酸のうち、9種類は体の中で作ることができないため、毎日の食事からたんぱく質を不足なくとる必要があります。
タンパク質はどれくらいとればいいのか?
たんぱく質は毎日摂らなくてはいけませんが、1日あたりどれくらいの量を摂ればいいのかを覚えておきましょう。
- たんぱく質の1日の摂取推奨量
- 成人女性50g/成人男性60g
- 妊娠中期~後期や授乳中の女性は、50gに追加してたんぱく質が必要です
- 妊婦 中期+10g 後期+25g 授乳婦+20g
たんぱく質の摂取推奨量は、平均的な体重や運動量で、エネルギーや栄養素が不足していない前提での数値です。
摂取エネルギーや、体重、運動量などの個人差により、1日に必要なたんぱく質の量は変わります。
あなたに必要なタンパク質の摂取量を計算してみよう
「日本人の食事摂取基準」によると、健康な成人では体重1㎏あたり0.9gのたんぱく質を摂取すれば、ほとんどの人が1日に必要な量を満たせるとされています。
あなたに必要なたんぱく質の摂取量はどれくらいになるか計算してみましょう。
- 体重□㎏×0.9g=1日の摂取推奨量□g
- たんぱく質の1日の摂取推奨量 計算式(成人男女共通)
- 体重50㎏の場合
- 50×0.9=45g
- 体重60Kgの場合
- 60×0.9=54g
- 食事1回あたりの摂取量は、1日の摂取推奨量を3で割った量になります。
- たんぱく質の1回の摂取量
- 体重50㎏の場合
- 45g÷3=15g
- 体重60Kgの場合
- 54g÷3=18g
スポーツや筋力トレーニングが日課になっている方や、力仕事をする方などは、さらに多くのたんぱく質が必要です。
体重1㎏あたり1.2g~2.0g未満程度を目安にしましょう。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
タンパク質は不足に気をつけて!過剰な摂りすぎも要注意
たんぱく質をどれくらいとればいいのかはわかりましたか?
もし、たんぱく質が足りなかったり、とり過ぎたりするとどうなるのかを説明します。
たんぱく質が不足すると
たんぱく質が不足すると、体を構成しているたんぱく質を分解して不足分を補うので、低アルブミン血症を引き起こし体力や免疫力が低下しやすくなります。悪化すると、感染症や合併症を起こすこともあります。
とくに気をつけたいのは子供と高齢者で、成長障害や虚弱を起こしやすくなります。
タンパク質を過剰にとり過ぎると
たんぱく質の摂取量に上限はありませんが、健康な成人で、体重1㎏あたり2g以上のたんぱく質をとり続けると過剰になるので注意しましょう。
たんぱく質を多く含む食品をたくさん食べると脂質をとる量も増えるので、体脂肪の増加につながります。
長期間たんぱく質を摂りすぎると腎臓に負担がかかったり、骨がもろくなったりするなどの健康障害や、肥満になる可能性があります。
体重や運動習慣、体調などに応じて適切な量のたんぱく質を摂るようにしましょう。
タンパク質が豊富なおすすめ食材
たんぱく質は、肉、魚介、大豆製品、卵、乳製品などに豊富に含まれています。
含有量は少ないですが、穀類や野菜、豆などにも含まれます。
たんぱく質は、肉だけ、魚だけなど、単一の食品からとるよりも、いくつかの食品を組み合わせてとることでアミノ酸のバランスが良くなり、効率的に栄養素が補えます。
タンパク質が豊富な食品のタンパク質量一覧
肉類
鶏ささみ肉1本(50g) | 12.3g |
---|---|
鶏むね肉 1/5枚(50g) | 12.2g |
豚ヒレ肉1切れ(30g) | 6.8g |
豚もも肉 薄切り2枚(30g) | 6.6g |
牛もも肉赤身 50g | 10.8g |
牛肩ロース 1枚(20g) | 3.8g |
魚介類
さば 1切れ(100g) | 20.6g |
---|---|
さけ 1切れ(80g) | 17.8g |
たら 1切れ(90g) | 15.7g |
まぐろ刺身 3切れ(30g) | 7.9g |
大正エビ1尾(20g) | 4.3g |
大豆製品
納豆 1パック(40g) | 6.6g |
---|---|
もめん豆腐1/6丁(50g) | 3.3g |
絹ごし豆腐1/6丁(50g) | 2.5g |
卵
鶏卵 Mサイズ1個(50g) | 6.2g |
---|
乳製品
牛乳コップ1杯(200g) | 6.6g |
---|---|
スライスチーズ1枚(約18g) | 4.1g |
ヨーグルト 1個(80g) | 2.9g |
出典:日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)
まとめ
たんぱく質は、体を作る材料になるほか、栄養素の運搬やエネルギー源としての役割もあります。
1日あたり成人女性50g、成人男性60gのたんぱく質をとるようにしましょう。
授乳中や妊娠中の女性、筋トレやスポーツをする習慣がある人、力仕事をする人は、さらに多くのたんぱく質が必要です。
たんぱく質は不足すると筋力が落ちて、体力や免疫力が下がったり、成長障害を起こしたりすることもあります。とり過ぎは大きなリスクはありませんが、脂肪やエネルギーが過剰になりやすく、肥満につながるので気をつけましょう。
大切なことは、毎食1~2皿はたんぱく質が豊富な食材を使ったおかずを食べるように心がけることです。
肉ばかり、魚ばかりなど偏ることは避けて、肉と豆腐、魚と卵など、色々な食品を組み合わせるのが、効率的にたんぱく質を補給するポイントです。
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どれくらいの量のお肉やお魚を食べればいいかわからない方は、目安量の参考にもなるので、一度、お試しで利用してみてはいかがですか?
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