食事誘導性熱生産って(DIT)?太らないために気を付けるべきポイント【管理栄養士執筆】

食事誘導性熱生産って(DIT)?太らないために気を付けるべきポイント

執筆者プロフィール

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管理栄養士
柏木 優

管理栄養士/エキスパートファスティングマイスター/食生活アドバイザー他
大学卒業から7年間は食品会社で品質保証業務を行い、その後、特定保健指導管理栄養士として生活習慣改善のためのサポートに携わる。また、ファスティングサポートや日常的な栄養相談なども行いながら、コラム執筆など様々な栄養の仕事をしている。

私たちが日々生活をする中で、食べすぎたり運動不足が続くと太ってしまいやすくなりますよね。これは一体どうしてなのでしょうか?

それには代謝が大きく関わっています。そしてその代謝にもいくつかの種類があり、それぞれがしっかり働いている事が、太らないために大切なポイントとなってきます。

大事なポイントである代謝の中のひとつ、特に食事誘導性熱産生について、詳しくお伝えしていきます。

代謝とはどういうことなのか?

そもそも、代謝とはどういう事なのでしょうか?簡単に言うと、「体内に入ってきた栄養素をどう使うか」と言う事です。

少し専門的に言うと、食べた物からの栄養素を分解して体にとって必要不可欠な物質を作り出したり(異化)、体内で物質を合成したり(同化)する事。

例えば、肉や魚を食べたとして、それらに含まれるたんぱく質は、体内でアミノ酸という最小単位にまで分解されます。そして、体内の各組織に運ばれ、再び合成され、それぞれの組織の細胞となるのです。

つまり、代謝が悪くなると言うことは、アミノ酸に分解できなくなったり、組織に運ばれ合成したりするのができにくい状態になるのです。

たんぱく質で言うと、アミノ酸として筋肉や肌の細胞などに運ばれ、細胞として合成ができなくなり、筋肉の修復ができなかったり、肌荒れを直せなくなったりしてしまいます。代謝を正常に保つことは、私たちの体にとって非常に重要なんです。

代謝の種類

代謝には、

  1. 基礎代謝
  2. 生活活動代謝
  3. 食事誘導性熱産生(DIT)

の3種類があります。

  • 基礎代謝
    私たちが安静にしていても体で使用されるエネルギーのことを言います。呼吸することや、内臓を動かすこと、体温を調整することなど、私たちの生命の維持のために使われるエネルギーのことを言い、体の代謝のうち約60%がこの基礎代謝であると言われています。
  • 生活活動代謝
    日常生活中の動きや運動などのために、体を動かすときに使われるエネルギーのことを言います。活動の強度や時間、個人によって変わりますが、体の代謝のうち約30%程を締めると言われています。仕事がデスクワーク中心であまり動く機会がない人や、運動の習慣があまりない人は、この代謝は低くなります。「運動をすると代謝が上がる」と良く言われるのは、この生活活動代謝が運動により上がるということなのです。

そして代謝にはもう一つ大切な代謝があり、それが食事誘導性熱産生(DIT)と言います。

食事誘導性熱産生(DIT)とは何か?

食事誘導性熱産生(DIT)とは何か?

では、食事誘導性熱産生(DIT)とは何なのか?言葉だけ聞くと少し難しく感じてしまうかもしれませんね。

簡単に説明すると、食事することによって消費するエネルギーのことです。

食事をしてエネルギーを摂取してるんじゃないの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。私たちの体では、食事をすると必ず食べ物が消化・吸収されているのですが、この過程で一部が熱となり消費されます。そのため、食事の後は特に運動をしたわけではなくても代謝量が増えるのです。

例えば食事をしているときや食後に、汗をかいたり熱いと感じたことはありませんか?

それらは食事誘導性熱産生によるものなのです。この代謝は私たちの体の代謝のうち10%を締めると言われています。数字で見ると、他の代謝より割合が低く感じるかもしれませんが、この代謝は食べ方次第で変えていけます。

そして、食事誘導性熱産生には、

  • 3大栄養素を消化吸収するときに発生する熱
  • 食事により交感神経が刺激され、全身のエネルギー代謝が亢進(こうしん)して発生する熱

の2種類があります。

食事で気をつけるポイント

太らないために、実際に食事で気をつけるポイントについてお伝えします。

①たんぱく質を豊富に含む食事を意識する

DITは3大栄養素で差があり、糖質は摂取したうちの5〜10%のエネルギーがDITとして消費され、脂質は3〜5%で、たんぱく質は20〜30%にもなります。たんぱく質は数多くのアミノ酸からなる大きな物質のため、消化吸収・代謝に使われるエネルギーがその分多く必要となります。

ですので同じ摂取カロリーだとしても、たんぱく質の割合が多い方が、食事から熱に変わる量が多いため、太りにくくなるのです。

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②良く噛んで食べる

私たちは「噛む」事で交感神経がより働くようになります。交感神経が優位になるとDITは上昇します。つまり、よく噛んで食べることでDITが上がると、太りにくくなるのです。

③辛味成分を使用する

唐辛子を食べるとカプサイシンという成分が血行を促進したり、脂肪燃焼を促してくれます。そして生姜に含まれるショウガオールも血行を促進し、体温を上げてくれます。

これらはDITを高める効果が期待できるので、調理の際に使用すると良いでしょう。

まとめ

食事誘導性熱産生(DIT)について、どういうことなのか?太らないようにするためには食事でどう気をつけたら良いのかについてお話ししてきました。

言葉としては長い言葉で難しく感じるかもしれませんが、「食べた物を消化吸収するときに発生する熱による代謝」のことです。

分解が大変なたんぱく質であったり、血行をよくする食材を豊富に使い、よく噛んで食べることで、同じカロリーでも代謝の効率が大きく変わります。そうして太りにくい体づくりができますので、ぜひお食事の際にはDITを意識してみてくださいね。

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